開業する先生に捧ぐ No4.収入の予測について
建替え・開業
クリニックを開業する先生に捧ぐ No4.【収入の予測について】
クリニック運営の成否を決めるファクターとして、収入が最重要であることは間違いありません。
事業計画策定の際も、どのくらいの収入を得られるのかを、できる限り予測することが事情に大切になります。
収入の予測は結構難しいですが、「絵に描いた餅」にしないために、必要なことを考えていきましょう。
- 開業後数年分の収入を予測する。
事業計画では、基本条件として、数年分の推移を予測します。
この収入条件は、今後作成する月ごとの資金繰り計画を精度の高いものにするためです。
次に、収入を構成する項目ごとに見ていきましょう。
- 一日平均患者数
まず、計算するのは患者さんの人数です。
患者数を概算するために広く使われているものに、診療圏があります。
候補地を中心に、地図上に円を描き、患者の行動範囲を示すもので、圏内の人口に診療科ごとの受診率を掛け患者数を割り出します。
診療圏調査は、弊社からも提供いたしますが、専用ソフトウェアも販売されています。
診療圏調査は、古典的ながら重要な手法であり、外部への事業計画の説明にも役立ちます。
しかし、全面的に信頼できるものではありません。
開業地の細かいロケーション、連携先との関係等も患者さんの人数に大きく影響しますので、適宜補正する必要があります。
- 診療単価
患者の数とともに重要なことに、診療単価があります。
診療科ごとの平均単価のデータが非常に参考となります。
ただし、この数字についても5%~10%くらい控えめに見るのが良いと思います。
また、自費収入についても、科目や先生方の方針により大きく異なりますので、
近隣のクリニック等の状況にも目を向けながら妥当な額を設定してください。
診療単価は少し高く設定すると、計画上の数字が劇的に上がって行きます。
それだけに、計算すべきリスクを見落としがちになりますので、保守的な設定を心がけていきましょう。
- 診療日数
そして、意外に間違えやすいのが診療日数です。
休診日はもちろん、半日休の影響を軽視するケースが多いので注意してください。
週0.5日の休みも、1か月では2日分となります。
例えば、一日当たりの収入の平均が40万円とすると、2日分では80万円の差が出てしまうことになります。
- 数字を変えながら、複数のケースでシミュレーションをしていきましょう。
収入額は、間違ったら「理想値」になってしまうものです。
モチベーションを保つため、あるいは金融機関に将来の成長性をアピールするため、理想的な数字を出すのもいいですが、楽観してもいいですが、できるかぎりの下振れを意識した複数の案も作成しておくべきではないかと思います。
収入の予測はいくら精密に計算しても、必ず計画とのブレが生じて来ます。
予測の当たり、外れより重要なことは、患者さんの人数や単価等が変化すると、損益や資金繰りにどのような影響が出るのかを、前もってシミュレーションしておくことが大切だといえます。
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